神戸三宮にある総合婦人科クリニック
低用量ピル・月経のお悩み、性感染症、性病検査
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医学的に見直されたピルの活用

医学の発展とともに変化した
低用量ピルによる治療法

低用量ピルの働き

低用量ピル(OC)は、女性の卵巣でつくられるホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2つが主成分。これらの女性ホルモンの作用を利用して、妊娠を防ぐ薬です。
ピルによって体外から女性ホルモンを取り入れると、脳が、すでに必要なホルモンが分泌されているものと判断して、卵巣にホルモン分泌の指令を出さなくなります。
このように、女性ホルモンの分泌をコントロールすることで、以下の3つの相乗効果を生み、確実に避妊することができます。

排卵を抑制

卵巣が休眠状態になるため、卵胞が発育せず、排卵が抑えられます。精子が進入してきても、卵子と出会うことができないため、受精が成立しません。

子宮内膜の増殖を抑制

通常、月経周期とともに、受精卵が着床しやすいように子宮内膜が増殖しますが、ピルを飲んでいる間は内膜が厚くならず、受精卵が着床しにくくなります。

頸管粘液を変化させ、精子の進入を阻止

子宮頸管から分泌される粘液が濃くなり、子宮の入口がせまくなって精子の進入を防ぎます。

避妊だけではないピルのさまざまな効果

低用量ピル(OC)は、一般的には避妊薬として認識されているお薬ですが、女性ホルモンをコントロールできることから、月経に関するさまざまなトラブルを解消できる「治療薬」として、近年、注目度が高まっています。
恋愛、仕事、結婚…。忙しい現代女性にとって、毎月の月経は体と心の負担になる場合があります。その負担を和らげ、すこやかな日常生活を送るために、低用量ピル(OC)がとても大きな役割を果たしてくれます。

月経困難症の改善

月経痛は一般に、子宮の収縮を促す発痛物質「プロスタグランジン」が子宮内膜に多く存在するためにおこると考えられています。低用量ピル(OC)には、プロスタグランジンを抑制する働きがあるため、月経時の痙攣性の腹痛を軽減することができます。また、月経時には下痢や頭痛などの全身症状を伴うケースも多くみられますが、これも、プロスタグランジンが血液に乗って全身に作用してしまうためにおこります。
加えて、ピルは子宮内膜を薄く保つ役割も果たします。子宮内膜が薄いため、月経量が減ります。その点でも月経痛の軽減につながります。
以上のように①子宮収縮物質「プロスタグランジン」の抑制②子宮内膜を薄く保つという大きな2つの働きによって、低用量ピル(OC)には月経痛を軽減する効果があるのです。
※月経困難症治療薬には、保険適応のお薬もあります。詳しくはご相談ください。

PMS(月経前症候群)の改善

PMS(月経前症候群)は、排卵によって大量に分泌された黄体ホルモンが、女性の身体にいろいろな影響を与えるためにおこります。生理の始まる3〜10日前頃からおこり、生理の開始とともに軽減、または消えるのが特徴です。
また、黄体ホルモンは脳内伝達物質であるセロトニンの分泌を低下させてしまいます。これは鬱病と同じですから、PMSとして同じような症状が現れる可能性があります。
低用量ピル(OC)は、排卵を抑制し、黄体ホルモンの大量分泌を抑えることで、PMSの症状を軽減することができます。

月経不順の改善

「大切な会議の日と月経のピークが重なりそう」「海外出張中に月経が来るかどうか、分からない」。こんな悩みは、現代女性につきもの。生理の周期が一定ではなく、月経がいつ来るか分からない場合、低用量ピル(OC)を服用することで、月経はきちんと28日周期で訪れるようになります。
また、低用量ピル(OC)によってホルモンバランスを整えておくと、服用を中止した場合でもいいリズムで月経が訪れ、妊娠するための好条件を作ってくれるという効果も期待できます。
月経不順の原因はさまざまで、診察を受けた後での判断になりますが、ホルモンバランスを整えるため、また、身体の中の環境を変えるために、副作用の少ない低用量ピル(OC)が使われることも多いのです。

子宮内膜症の治療

子宮内膜症とは、月経時にはがれ落ちる子宮内膜が子宮以外の場所で増殖し、月経のたびに子宮以外の場所から出血してしまう病気で、ひどい月経痛、月経期間の長期化、出血量の増大などが主な症状です。
低用量ピル(OC)には、子宮内膜を薄く保つという働きがあるため、子宮以外で増殖している内膜も薄く保つことができ、結果として月経痛の軽減や月経時以外の腰や下腹部痛の軽減などに効果が期待できます。

肌荒れ・ニキビの改善

あごや口の周りのニキビなどは、男性ホルモンが過剰になり、ホルモンバランスが崩れてできやすくなることがあります。低用量ピル(OC)には、ニキビの原因となる黄体ホルモンや、卵巣・副腎由来の男性ホルモンを抑える働きがあるため、ニキビや肌荒れの改善など、美容効果が期待できます。 低用量ピル(OC)の主成分である「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は、種類によって含有量や成分に違いがありますので、美容効果を期待する場合は、医師と相談の上、最も適している低用量ピル(OC)を選択することが大切です。

プレ更年期症状の改善

女性ホルモンの中でエストロゲンは、脳、血管、肝臓、骨、皮膚、粘膜など全身に作用し、細胞の張りと潤いを守ってくれています。閉経前後の10年間を更年期とよび、エストロゲンレベルの急激な低下による身体のさまざまな不調がおこりはじめます。その前のプレ更年期(30代後半~)にも同じような不調が起こる場合があります。 低用量ピル(OC)によってエストロゲンを補充すると、プレ更年期におこる不調の改善が期待できます。

卵巣がん、子宮体がんのリスク軽減

最近の研究で、低用量ピル(OC)は、がんの種類によってはそのリスクを減らすことがわかってきました。卵巣がんは、卵巣が毎月の破裂と修理を繰り返すことで生じるとされているため、低用量ピル(OC)の服用により卵巣が「お休み」することで、がんの発症を抑制すると考えられています。
また、子宮体がんのリスクの低減、さらに、大腸がんのリスクも抑えられることが確認されています。

その他にも、月経量が減ることによる「貧血の改善」、排卵を抑えることによる「排卵痛の軽減」、「卵巣嚢腫の減少」、「良性の乳房疾患の減少」、「骨粗しょう症の予防」などに、低用量ピル(OC)の効果が期待されます。

副作用・不妊・長期服用のリスクについて

約40年前、ピルが開発された当時は、含まれるホルモン量が多く、副作用を引き起こす例もありましたが、平成11年に日本で認可された低用量ピル(OC)は、ホルモン量が低めに抑えられているため、副作用の発生率はかなり下がっています。
太ることを心配される方が多いですが、ほとんどの女性に変化は見られません。また、妊娠については、低用量ピル(OC)の服用を中止すると排卵は再開し、中止直後の妊娠でも 胎児に影響はありません。
服用期間については、例えば20〜40歳まで飲み続けても、問題はありません。ただ、さまざまなリスク軽減のためにも、定期検診は受けるようにしてください。

低用量ピル(OC)の注意点は3つ

低用量ピルの服用にあたって、注意していただきたいのは、以下の3点です。

マイナートラブル

低用量ピル(OC)の服用初期には、吐き気や頭痛、不正出血、めまい、乳房の張りといった「マイナー・トラブル」と呼ばれる軽度の副作用がおこることがあります。
これらのトラブルはエストロゲンや黄体ホルモンのバランスが変化したことによるもので、2~3ヶ月で自然に治まります。まずは3ヶ月間、服用を続けてみてください。

血栓

低用量ピル(OC)の副作用として、注意するべきものに「血栓症」があります。血栓とは血管の中でできる血液の塊のことで、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。
ただ、低用量ピル(OC)の服用による血栓のリスクは、喫煙でのリスクに比べるとほんの小さなものです。健康な女性で、定期検診をきちんと受けていれば、あまり心配しなくても良いでしょう。
ただし、たばこを吸う方、肥満、高年齢での服用はリスクがあがるため、必ず医師に相談してください。

飲み忘れ

低用量ピル(OC)は、1日に1回、決まった時間に服用することで、ほぼ100%の避妊効果を発揮するお薬です。もし飲み忘れたとしても、24時間以内に服用すれば問題ありません。
時間を決めて、毎日の習慣にすることで、飲み忘れを防ぎましょう。

避妊効果だけでなく、こんなにさまざまな副効用がある低用量ピル(OC)!
正しい服用、定期的な検診を忘れずに、上手に使うことで、女性特有のさまざまなトラブルからカラダとココロを守りましょう!

ピルの服用について不安、疑問などのある方は、ピル専用のQ&A掲示板をご用意しておりますので、そちらをご活用ください。当院より必ずお返事させていただきます。